東京都障害者福祉会館を守る利用者の会ニュース 2002年12月号 【連絡先】 電子メール:shoukanuser@npo-jp.net ホームページ:http://www.shoukanuser.npo-jp.net/  今年最後の『利用者の会ニュース』です。皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか?  障館利用者にとっては相変わらず厳しい日々が続いています。今年もまた職員が減らされたために問い合わせや会場申し込みなどにも支障を来すことが増えたような気がします。もちろん、職員の皆さんは一生懸命にやっていただいているのですが。  今回は、10月19日におこなった交流会の報告、11月14日の都福祉局への申し入れと署名提出行動、11月16日の会議の報告などを掲載します。 ●10月19日交流会報告  10月19日午後6時より障館2回会議室において秋の交流会が10数名の参加をえておこなわれました。  あげもの、煮物、漬け物、サラダ、海苔巻きと来ればさまざまな飲み物も登場しデザートの果物。素晴らしいフルコースを味わいながら進められました。これまでの何度かの交流会もあれこれとくふうされてきましたが今回のないようもなかなか濃いものとなりました。  はじめて参加された団体の代表の方々からは散文詩を交えての活動紹介がありました。小話で盛り上げてくださった団体もありました。また、毎回その時々のできごとをテーマに意見交換をしていますが今回は北朝鮮の日本人拉致のことについて取り上げてみました。  さらに、障館に関する大事な提案がされました。DPI(障害者インターナショナル)日本会議が福祉局に対して「自分たちを含む都の障害者団体に障館を委託せよ」という要望書を提出した件についてDPI日本会議への抗議文の原案が読み上げられ次回の全体会で確認することとなりました。  飲んだり食べたりしながらの、会議だけとはちょっと雰囲気の違う交流会に是非参加してみませんか?日にちや場所はニュースを読んでいただければわかります。  「東京都障害者福祉会館を守る利用者の会」はじみちながら活動は続いています。誰でも事務局会議、全体会、署名とり、ビラまき、交流会とどうぞご参加ください。お待ちしています。 ●11月14日、都福祉局申し入れと署名提出  11月14日午前10時半に都庁第1庁舎ロビーに集まり、まず7階の知事室に、これまで皆さんからお預かりした署名816名文を提出しその後21階の福祉局在宅福祉課に申し入れをおこないました。  在宅福祉課の高原課長、市川係長に対応していただきました。まず、「利用者の会」からの申入書(別掲)を読み上げおよそ15分間質議をおこないました。  その中で、来年度予算は今年度と変わりなく要求していること。12月には正式に決まること。「聴覚障害者」向け字幕付きフィルムについては「できるだけ多くの方に利用していただける方向で譲渡先を検討中です」と解答されました。しかしながら具体的なことについては答えてもらえませんでした。   「利用者の会」では引き続き障館の民間委譲と廃館に反対する署名活動をおこなっています。ご協力をお願いします。 ●福祉局に提出した申し入れ 東京都福祉局長殿 東京都障害者福祉会館を守る利用者の会  私達は東京都障害者福祉会館(以下障館)の民間委譲と廃館の動きに反対し都による直営とさらなる障館機能の充実を求めて活動している障館利用者です。  去る9月4日、DPI「障害者インターナショナル)世界会議東京行動委員会から「障館をDPIを含む都内の障害者団体に民間委託せよ」という要望書が出されたことを知りました。是非とも、障館利用者の声(都による直営と機能の充実)を最大限に尊重していただくようお願いします。  DPIに限らず、これからも障館の将来の運営のあり方について都庁内外からさまざまな意見や要望が出されてくることが考えられます。障館の将来の運営のあり方については、その影響を最も大きく受けることになる障館利用者の意見をこそ充分にくみ取りながら検討されるよう要望するものです。  繰り返し申し上げますが、障館は都内で唯一の障害者が安心して利用できる施設です。確かに市区町村にも障害者会館などの施設は一定程度整備されてきています。福祉局もこのことを理由にして都障館の機能の縮少を強行しています。しかしながら市区町村の施設は規模が小さく、設備も貧弱、受けられるサービスも十分ではないのが実状です。さらに利用者を地区住民に制限するなどのさまざまな利用制限を設けている施設が少なくありません。所在地の交通の便もきわめて悪いという状況です。このことは現在でも障館の利用者数が減っていないことからも明かです。   都障館は私達にとって欠くことのできない大切な施設なのです。  是非とも障館の都による直営を今後とも続けていただくと共に職員配置や設備のさらなる充実を強く求めます。 ●11月16日利用者の会  午後6時から障館c3集会室で会議を開きました。事務局を含めて9名が参加しました。  11月14日の都庁行動の報告ののち今後の署名活動の進め方、DPI日本会議宛の抗議文(別掲)の検討を行いました。  はじめて参加された方からは都議会議員への働きかけなどもっとたくさんの人に訴える必要があるのではないかなどの貴重なご意見をいただきました。  次回の全体会は信念1月18日午後6時からc3集会室でおこないます。また、事務局会議を12月19日午後7時から障館ひかえ室でおこないます。 ●「抗議文」への賛同をお願いします  去る9月4日、「DPI(障害者インターナショナル」日本会議東京行動委員会」が「(障館を)DPIを含む都内の障害者団体に民間委託するよう」求める要望書を福祉局長宛に提出しました。  障館の将来の運営に関わる重大な問題をほとんどの利用者に知らせることも意見をまとめることもなしにこのような「要望書」が提出されたことについて頬ってはおけないと考え「DPI日本会議」に対し障館利用者の声を集めて「抗議文」を提出し、その真意を確かめたいと思います。  つきましては、別掲の「抗議文」の内容を検討の上賛同団体としてお名前を連ねていただくようお願いします。賛同していただける団体の方はこのニュースの連絡先までご連絡ください。 抗議文 DPI(障害者インターナショナル)世界会議東京行動委員会 代表 横山 暁久 殿  私達は、東京都障害者福祉会館(以下障館)を利用している団体、個人が集まって99年以来石原都知事による障館の民間委託・廃館の動きに対して障館の東京都による直営と充実を訴えて活動してきました。  ところが、貴団体すなわちDPI(障害者インターナショナル)世界会議東京行動委員会(代表横山 暁久氏)が障館の委託を要請する東京都福祉局長宛の「要望書」を2002年9月4日付けで提出したことを知りました。障館利用者の立場からして、このような行為は断じて看過することはできません。直ちに「要望書」を白紙撤回されるよう求めます。  私達がこの「要望書」を容認することのできない第1の理由は、障館利用者の利害や意向を一切無視したところで障館の委託先として「DPIを始めとする都内の障害者団体」が勝手に名乗りを上げ、都福祉局に申し入れを行ったという点にあります。  「要望書」では「しかし、今後の『障害者福祉会館』の存続については、東京都の引き続く財政難と共に、区市における障害者福祉センター等の一定の整備がはかられているという認識の下で、『民間委託』による整理統合化の対象に位置づけられていく可能性が大きく、きわめて困難な状況に直面しているのが現状です」と述べられています。しかしこの表現からは石原都知事の進める福祉切り捨てとその下での障館の委託(委譲)・廃館への危機感がまったく感じられないばかりか、福祉局が民間委託を強行するために私達障館利用者に説明してきた言い方とまったく同じ言い方です。DPIの考えは「民間委託は避けることのできない流れだ」「だったら自分が委託先として名乗りを上げておこう」ということに他なりません。このような発想の中には、現在石原都知事が強引に進める福祉切り捨てに対する怒りも、障害者の暮らしをどうやって守っていくのかという立場もまったく感じられません。  「要望書」では「……(障館は)『民間委託』による整理統合化の対象に位置づけられていく可能性が大きく」と述べています。そもそも障館の民間委託については、1998年12月に都が打ち出したことに対して多くの障館利用者の反対の声がわき起こり、福祉局との何度にも渡る話し合いの結果白紙撤回させたという経過があるのです。そして、職員や予算を削減されながらも現在に至るまで都による直営を守り抜いているのです。DPIはこのような障館利用者の「障館を守ろう!」という必死の闘いと思いをいったいどのように考えているのでしょうか?DPIは障館利用者が民間委託反対で必死にがんばっていることを知りながら反対運動に一切関わろうとしてきませんでした。それどころか、このような障館利用者の思いを充分に承知した上で、障館利用者の意見を広く聞くという努力も行わないままで「障館を自分たちに委託せよ」という申し入れを勝手に行ったのです。百歩譲って民間委託(委譲)という考え方を採ったとしても最低限障館を利用する人達の意見を充分に組んだ上で話しを進めるのが筋というものではないでしょうか?このような行為は障害者運動を行う者として、いや人間として許されるものではありません。  また、「区市における障害者福祉センター等の一定の整備が図られているという認識の下で」と述べられていますが、このような認識は福祉局が障館の存在意義を否定するときに常に私達利用者に向かって言ってきた「根拠」とまったく同じ言い方です。さらにこのことは、DPIが「区市における障害者福祉センター等」の実状をまったく分かっていないことを自ら表明するようなものです。確かに近年区市町村に障害者センターの一定の整備が進んだことは事実です。しかしその実体は極めて貧弱な設備、交通の便の悪さ、利用者を当該区市町村の在住者に限るなどのさまざまな利用制限、利用料の徴収等々障害者にとって決して利用しやすいものではありません(小さいグループにとっては特に)。その証拠に各地に障害者センターができたいまでも障館の利用者は年間20万人前後と少しも減っていないのです。したがって、「区市における障害者福祉センター等の一定の整備」が障館の存在意義を何ら低めるものではなく、まして障館の民間委託の理由とすることはできません。  第2に、DPIは今年の春の段階で民間委託を想定した障館運営の考え方を示した加盟団体向けの文書を出しています。そこでは「研修事業や収益事業を中心に行う」「各団体の事務所を置く」「集会室利用には利用料を取る」などと言っています。「要望書」の中でも「今後の『障害者福祉会館』の運営に当たっては、東京都における障害当事者、家族、関係者等の社会的ニーズに積極的に応えていくために、当事者の視点から、障害者の社会参加をサポートする人材育成に向けた研修事業等を中心的業務として明確に位置付けていく必要があります」と述べています。であるとすれば障館の現在の集会室のほとんどは研修事業や団体の事務所のためのスペースとして使われることとなり、障館が持っている貸し館としての機能は大きく失われることになります。現在でも土日の利用には申し込みが殺到し抽選で利用団体を選んでいる状況です。この状態はいっそう悪化し事実上障館を利用できなくなる団体も少なからず出てくることは明かです。地域の障害者センターはすでに述べたような状況です。これでは多くの団体が活動すらできなくなることも考えられます。  さらに、DPIは委託を希望しているようですが福祉局に一切そのつもりはありません。7月に発表された都の入所施設の整理計画には民間委託は一つもなく全て民間委譲か廃止です。私達はこのような都施設の整理計画自体に反対です。もちろん、障害者は本来地域で生活すべきだと考えています。したがって施設収容には反対です。しかしながら地域福祉のあまりの貧困のために施設生活をよぎなくされている障害者が多く存在することも事実です。このような現状の中で都施設の整理計画はただでさえ劣悪な施設生活をさらに悪化させることになるのは火を見るより明かです。  障館も同じことです。委託の場合は都からの財政援助(現在よりも大幅に減らされた上で)がありますが、委譲の場合は財政も運営も全て民間の力で行わなければなりません。障館では予算が大幅に削減された今でも人件費を除いた直接の運営経費だけで年間8000万円余りです。DPIはこれをどこから調達しようというのでしょうか?研修などの収益事業をいくら一生懸命にやったとしても運営経費をまかなうことはできないでしょう。勢い集会室の利用料も高額にならざるを得ません。そのあげくに運営費不足で立ち往生する事にでもなれば障館は廃止同然となってしまいます。  このように、DPIの「要望書」は障館利用者を無視しているという点に加えて、現実的に検討しても障館を廃止の方向に押し流していくことになってしまうのです。  障館を守り抜く道は、障館利用者や都内の障害者団体が力を合わせてあくまでも都直営を続けさせ、その中でよりよい障館を目指して改善の要求を福祉局に訴え続けていく以外にはありません。  繰り返し述べますが、障館の運営という障館利用者である私達に直接に大きな影響を及ぼす問題について、しかも障館利用者が障館の都による直営を守るために必死で運動していることを知った上で私達利用者の意向も聞かず、知らない間に福祉局に「要望書」が出されてしまうというのはいったいどういうことなのでしょうか?!これでは東京都福祉局と同じ、いやそれよりもひどいやり方ではないですか!  DPI(障害者インターナショナル)世界会議東京行動委員会におかれましては本年9月4日に都福祉局に提出した東京都障害者福祉会館の民間委託を求める「要望書」を直ちに白紙撤回されるよう強く求めます。 東京都障害者福祉会館を守る利用者の会